陰キャの作家はクリエイター交流会が苦手
ぼくは人付き合いが苦手だ。コミュ障だし陰キャだし人と関わること自体好きじゃない。だけど作家の仕事なら1人でできる、だからぼくのようなコミュ障でも陰キャでもできる、そう思っていた。
しかし、それは大きな間違いである。少なくとも職業作家にとって人付き合いは重要だ。上手くできない人はまず生き残れないと思ったほうがいい。
だからコミュ障だけど、頑張ってクリエイター交流会なるものに参加した。
いろんな人たちがいる。作家もいればマンガ家、イラストレーターとか、いろいろなことしている。この中で一番他人に対して意地悪で虚勢を張っているのは誰か?それは作家である。
作家の武器は言葉しかない。イラストレーターのように、自分の能力をわかりやすく提示することはできない。その自信のなさからか、作家はイラストレーターやマンガ家よりも、虚勢を張っている人が多いと思う。
具体的には早口で捲し立てるように業界のことを話したり、自分の業績を聞いてもいないのに言ってきたりする。新人作家の立場の弱いぼくは、恐縮するばかりだった。
作家は自信のない人が多い。だから自信のあるトークさえできれば、他の作家より頭一つ抜けることができる。
ぼくはこの虚勢を張り合うクリエイター交流会という名の空間が苦手だった。六本木でクラブナンパをした時よりも緊張した。自分がいかにクリエイティブな世界で成功しているかを誇示し合う世界。大人の嫉妬の世界…
しかし、作家として生き残って行きたいなら、そんなナイーブなことばかり言ってられない。人付き合いは苦手だなどと言っている場合ではない。少しでも他の作家より抜きん出ないといけない。ぼくは必死に他の作家に話しかけた。ぼくのような新人を無下にする作家もいれば、アドバイスをしてくれる作家もいた。そこでぼくは気づいた。作家の世界も一般社会と同じでいい人もいれば悪い人もいるということを。
それは当たり前のことかもしれない。ただ、この世界に入ってくる人間は、出発の世界に大きな幻想を抱いている。本を出せば人生が変わる…恥ずかしいながら、ぼくも幻想を抱いていたワナビーの1人だった。
ある編集者に話しかけた。ぼくは必死で営業トークをした。ぼくはサラリーマンだが、営業職の経験はない。営業は苦手で就活の時は営業職を徹底的に避けていたくらいだ。
とても拙い営業だったと思う。だけどその編集者はぼくの話を聞いてくれた。そしてぼくと名刺を交換してくれた。それからメールをして、企画を通してもらった。
苦手なことから逃げずに取り組めば、成果は出るものだと思った。ほんの少しだけ、自信がついたと思う。ぼくはもう30代だけど、挑戦するれば成長できるのだと思った。
本を出したことよりも、営業が成功したことのほうがぼくは嬉しかった。この業界のことは怖くて仕方なかったけれど、向き合えば自分を成長させることもできる。
しかし、ぼくは炎上してしまった。せっかく成長できたのに、失ってしまった。それが残念で仕方ない。